2022 Domaine Joannès VIOLOT-GUILLEMARD Pommard 1er Cru Clos des Mouches (ジョアネス ヴィオロ ギィマール)
28,500円(税2,591円)
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ポイント還元
魅惑的な香りと深い味わいで、同年のボーヌ産赤ワインの中でも特に秀逸な一本に数えられます。外観は淡めのルビー色ながら、野イチゴやバラの花びらを想わせる華やかなアロマが立ち上り、シナモンやクローヴといったスパイスのほのかなニュアンスが奥行きを与えます。時間とともに開いてくると、口中には凝縮感のある果実の甘みが広がり、その芳醇さには思わず酔いしれるほどです。同時にタンニンと酸による骨格もしっかりと感じられ、エレガントさと力強さが見事に調和しています。特に中盤から後半にかけて果実の凝縮度が増し、ストラクチャーが後押しする形で味わいがどんどん膨らんでいきます。充分な酸味が全体を引き締め、全く緩みのない構成を保ちながら、フィニッシュまで綺麗に伸びていきます。口当たりは滑らかで誘惑的なほど優美ですが、ワイン自体は20年に及ぶ熟成にも難なく耐えうるポテンシャルを秘めています。若いうちは鶏肉の赤ワイン煮込みや鴨のローストなど、旨味のある家禽料理と合わせると持ち前の果実味と芳香が引き立ちます。
評価:
デキャンター(Charles Curtis MW):95点
インサイドバーガンディ(Jasper Morris MW):90〜93点
バーガウンド(Allen Meadows):91点
畑の特徴:
「クロ・デ・ムーシュ」はボーヌ村の南端、ポマールとの村境付近に位置する有名な一級畑です。広さ約25haの畑全体が「クロ(石垣で囲まれた畑)」となっており、赤ワインと白ワインの両方を産出することで知られます。ユニークな畑名はフランス語で「ハエの囲い」を意味しますが、実際には*“mouches à miel”*(蜂蜜を集めるハチ=ミツバチ)のことで、かつてこの区画の周囲に養蜂箱が置かれ、多くのミツバチが飛び交っていたことに由来します。ドメーヌ・ヴィオロ=ギュイマールが所有する区画は約0.30haと小規模ながら樹齢65年を超える古木が植わっており、非常に低収量で凝縮度の高いブドウが得られます。南東向きの緩斜面に位置し日当たり・水はけ共に良好なため成熟が安定しており、エレガントで滑らかながら芯のある優美なワインが生まれます。ボーヌの中でもトップクラスの評価を受けるクリマであり、その品質の高さからクロ・デ・ムーシュの名は広く知られています。
栽培・醸造方法:
ヴィオロ=ギュイマールではクロ・デ・ムーシュの区画も有機農法でブドウ栽培が行われています。除草剤や化学肥料を使わず土壌本来の生命力を重視した栽培により、ブドウ樹は健康で強靭な根を張っています。収穫は手摘みで丁寧に行い、小さなケースに入れたブドウはすぐさま圧搾所へ運ばれます。赤のクロ・デ・ムーシュ2022では収穫したブドウを房ごと全て使用して発酵させ、抽出は足踏みだけで行うという極めて伝統的かつ繊細な手法が採られました。木製の開放発酵槽でゆっくりと醸し出された果汁は、その後フレンチオーク樽に移して約18ヶ月間熟成されます。新樽の使用割合はキュヴェごとに調整されますが、強い木の香りがワインを覆い隠さないよう控えめに留められます(目安として50%以下)。発酵から熟成まで一貫して野生酵母主体の低介入醸造を心掛け、清澄剤やフィルター濾過も施さず自然な形で瓶詰めしています
。全房発酵によるアロマの複雑さと足踏みによる優しい抽出によって、クロ・デ・ムーシュ本来のピュアな果実味とシルクのような質感が見事に引き出されています。