Paring Estate Robinson Vineyard Pinot Noir 2014 (パリンガ エステート ロヴィンソン ヴィニヤード ピノ ノワール) 750ml
7,700円(税700円)
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テイスティングコメント: Paringa EstateのRobinson Vineyard Pinot Noir 2014は、芳醇でエレガントなピノ・ノワールです。グラスからは熟したチェリーやラズベリーなど赤系果実の華やかな香りが立ち上り、ほのかにスパイスや樽由来のロースト香(クローブ、シナモン)も感じられます。味わいには甘やかなレッドチェリーの果実味が核となって広がり、細やかなタンニンとよく調和したセイボリーなニュアンス(森の下草や革を思わせる風味)が層を成しています。ミディアムからフルボディのしっかりした骨格で、豊かな深みと長い余韻を持ち、適度に溶け込んだオークのニュアンスがパワーと構造を与えています。全体としてスパイシーで旨味のある充実した味わいであり、酸のキレも良く上品なテクスチャーが楽しめます。
醸造方法・生産情報: このワインはモーニントン半島北部トゥーロン地区に位置するロビンソン・ヴィンヤード産のブドウから造られています。畑の土壌は水はけの良い褐色〜灰色の粘土質ロームで、冷涼な海洋性気候ながら標高が低く比較的温暖なため、果実にしっかりとした凝縮感と深い色調が備わります。使用されているブドウ・クローンはオーストラリアで古くから伝統的に用いられるMV6クローンで、単一ブロックの成熟した樹から厳選されています。収穫後、ブドウは小区画ごとに仕込み、開放型の発酵槽や大型フレンチオークのフードル(3,500リットル樽)で醗酵が行われます。発酵にはごく一部で全房発酵も取り入れ、ピノ・ノワールに複雑さと骨格を与えています。醗酵後はフレンチオークの小樽(バリック)に移して熟成させますが、新樽も適度に使用することでワインにスパイス香や質感の厚みを加えています。こうした綿密な醸造管理と18か月前後の樽熟成を経て、果実味・酸・タンニン・オーク風味が調和した完成度の高いワインに仕上がっています。
ワイナリーの歴史:パリンガ エステートはオーストラリア・ヴィクトリア州モーニントン半島の冷涼産地レッドヒルに位置し、1985年に創業しました。創業者のリンジー・マッコール(Lindsay McCall)氏は元教師という異色の経歴ですが、1983年に飲んだヴィクトリア産シラーズに感銘を受け「自分でも偉大なワインを造りたい」と決意し、1984年にレッドヒル南の北向き斜面に10エーカー(約4ha)の果樹園跡地を購入してブドウ栽培を開始しました。1987年に初醸造を行い、当初は試行錯誤の連続でしたが、1990年産シラーズがヤラ・ヴァレーのワインショーで金賞を受賞したのを皮切りに、その後ピノ・ノワールとシラーズで数々の受賞歴を重ねました。リンジー氏は正式な醸造教育を受けていないものの、「情熱と経験」により品質を高め、2007年版ジェームズ・ハリデー・ワイン・コンパニオン誌で「オーストラリア最優秀ワイナリー」に選出されるまでになりました。現在も家族経営で、モーニントン半島を代表する生産者の一つとして知られています。
背景:パリンガ エステートの哲学はピノ・ノワールとシャルドネへの特化に象徴されます。同エステートでは自社畑(レッドヒルの本拠地)の低収量ブドウに加え、長年取引のある契約農家の優良ブドウも用いており、これら冷涼産地特有の高い酸と果実味を持つブドウから質の高いワインを少量生産しています。畑での徹底した管理と醸造での細心の注意により、力強い果実味と緻密な造りが融合した独自の「パリンガ・スタイル」のワインを生み出しており、その卓越した品質は国内外のメディアや評論家から高く評価されています。特にピノ・ノワールは同地域でも屈指の出来とされ、地元のワイン品評会でも度々トロフィーを獲得するなど輝かしい実績があります。
ロビンソン ヴィニヤードの特徴とコラボレーション:ロビンソン・ヴィニヤードは、モーニントン半島の「下の丘(Down the hill)」と呼ばれる低地エリア、トゥーロン地区に位置する著名なブドウ園です。1988年にロビンソン一家(ヒュー・ロビンソン博士)によって開拓されたこの畑は、現在約23ヘクタールの成熟したブドウ樹を擁し、半島でも有数の優良区画として知られています。栽培品種はピノ・ノワールやシャルドネを中心に複数あり、その高品質な果実はStonierやMoorooduc Estateなど地域のトップワイナリーにも供給されています。地形的には標高が低く平坦な地にあり、前述の通り粘土質ローム土壌で水はけが良く日照にも恵まれるため、同じ半島内でもレッドヒルなど「上の丘」より温暖でブドウが完熟しやすいテロワールを持ちます。その結果、ロビンソン畑のピノ・ノワールは色調が濃く果実の凝縮感が高い一方で、タンニンの構造もしっかりして黒系果実のニュアンスが出やすいと言われています。(対照的に、パリンガ自社畑のあるレッドヒル(標高250m前後、火山性赤土)では酸が高く明るい赤系果実とフローラルな香りが特徴になります。 パリンガ エステートのオーナー兼醸造家リンジー・マッコール氏は、このヒュー・ロビンソン博士が管理する優れた畑に注目し、2014年からコラボレーションとしてシングルヴィンヤードのピノ・ノワールを仕込むプロジェクトを開始しました。もともとロビンソン畑のピノ・ノワール果実は長年ヤラ・ヴァレーの名門コールドストリーム・ヒルズにも販売され、同醸造所の最高峰キュヴェであるリザーブ・ピノ・ノワールに使われていた経緯があります。マッコール氏はその卓越した果実に惚れ込み、自社での醸造に転用して「ロビンソン ヴィニヤード ピノ ノワール」」と名付け、果実産地を正式に表記するとともに栽培者ヒューへの敬意を示しました。2014年ヴィンテージが初リリースとなったこのワインは、パリンガの他のピノ(自社畑もの)とは一味異なる個性を持ち、赤いチェリーの華やかな香りと甘みのある果実コア、そして細かなタンニンによる旨味が調和した美しい仕上がりだとリンジー氏自身も評しています。以降、ロビンソン畑の特定ブロック(MV6クローン)から得られるブドウが優れた年にのみ本キュヴェが造られており、ヴィンテージによっては果実が全て自社のエステート ピノに回され、本キュヴェが生産されない年もあります。パリンガ エステートではヴィンテージの出来がトップキュヴェ基準に満たなければシングルヴィンヤードシリーズを造らない方針を取っています。この厳格な選別方針により、ロビンソン ヴィニヤード ピノ ノワールはその年の最良の果実のみから限定的に生み出される特別なワインとなっています。
専門家による評価: オーストラリアの著名なワイン評論家ジェームズ・ハリデー氏はこのヴィンテージに96点/100点という極めて高いスコアを付与しました。
飲み頃(熟成状態と将来のポテンシャル):現在の熟成状態: 2014年産のピノ・ノワールである本ワインは、リリースから約10年が経過した現在、ちょうど飲み頃のピークに差し掛かっていると考えられます。推奨適飲期間は「2020年〜2027年」とです。リリース後6〜7年経過した2020年前後から本領を発揮し始め、さらに数年にわたり熟成ポテンシャルを示すと見込まれています。実際、2020年代中盤の今、瓶内熟成によって果実の一部がドライフルーツや森の下草のような複雑な風味へと発展し、タンニンもこなれて滑らかさが増しているはずです。前述のように革や茸(土の風味)といった熟成香が顔を出しつつも、芯にあるチェリー系の果実味や酸は健在で、非常に調和の取れた状態となっているでしょう。適切なセラー保管されたボトルであれば、今まさに飲んで楽しめるだけでなく、あと2〜3年程度は品質を維持しピークを保つと考えられます。特にこのワインはスクリューキャップで密封されているため(オーストラリアの高品質ワインに多い)、コルクよりもゆっくりと健全な熟成を遂げる傾向があり、その点でも2025年現在で十分な若々しさと熟成由来の複雑さのバランスが楽しめます。 さらなる熟成可能性: Robinson Vineyard Pinot Noir 2014は基本的に今が飲み頃ですが、構造のしっかりしたワインであるため、保存状態が良ければ2027年前後まで品質を保つ余地があります。タンニンと酸のストラクチャーが健全で、果実味も厚みがあるため、あと数年瓶内で熟成させることでより滑らかな質感と香りの一体感が増す可能性があります。一方で、それ以上長期の熟成についてはピノ・ノワールという品種の繊細さを考慮すると果実の力が衰えるリスクもあるため、飲み頃を逃さず2027年頃までに楽しむのが無難です。
希少価値:2014年ヴィンテージは初リリースということもあり生産量が非常に限られており、生産本数はおよそ128ダース(約1536本)程度と報告されています。これは樽で換算すればわずか数樽分の極小ロットであり、パリンガ・エステートのラインナップ中でも最も少量生産の部類に入ります。実際、2014年物は醸造所の会員向けに優先的に供給された限定品で、市場一般にはほとんど出回らなかったとされています。醸造家のリンジー・マッコール氏自身、「このワインは小さな単一区画のブドウから造られる特別なシングルヴィンヤードであり、今後もワインクラブ向けの限定リリースとして継続していく」とコメントしており、初年度から会員制での頒布を念頭に置いた希少なキュヴェでした。そのため一般市場や海外への流通量はごく僅少で、日本を含むオーストラリア国外でこのワインが正規に流通することは極めて稀です。 市場での評価とコレクター需要: 生産量の少なさと品質の高さから、2014はコレクターズアイテム的な価値も帯びています。発売当初のオーストラリア国内価格はボトルあたり約80豪ドル程度でしたが、現在では在庫がほぼ尽きているため入手は困難です。わずかに流通するボトルはオークションや専門店でプレミア価格で取引される傾向にあり、近年の同シリーズ新ヴィンテージが高評価を維持していることも相まって、中古市場での需要は根強いものがあります。例えば2019年ヴィンテージは地元ワインショーで最優秀ピノ・ノワール賞を受賞し、2020年ヴィンテージも金賞を獲得するなど後続年も評価が高いため、2014年のファーストリリースも「伝説的ヴィンテージの初版」としてオーストラリアのワイン愛好家やピノ・ノワールコレクターにとって垂涎の的となっています。 また、ロビンソン・ヴィンヤード自体が2020年に海外投資家に高額取引(約900万〜1000万豪ドル)で売却されたというニュースもあり、畑のブランド価値が改めて注目されています。この畑から産するワインは今後さらに希少性が増す可能性も指摘されており、この 2014は、希少な生産量・限定流通・高い評価の三拍子が揃ったコレクター垂涎の一本と言えるでしょう。
【詳細情報】
色タイプ:赤・辛口
容量:750ml
アルコール度:
ブドウ品種:ピノ ノワール
樽熟成:18カ月
産地:オーストラリア/モーニングトンペニンシュラ
生産年:2014年
ラベル表示:酸化防止剤