MARCO LUBIANA WINES Derwent Pinot Noir 2023(マルコ・ルビアナ・ワインズ ダーウェント・ピノ・ノワール) 750ml
8,500円(税773円)
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テイスティングコメント:グラスに注ぐと鮮やかなルビー色をしています。香りにはフレッシュで野性的なラズベリー、チェリー、ワイルドストロベリーなど赤系果実やブルーベリーの豊かなアロマが立ち上り、スミレのような紫色の花のニュアンスも感じられます。さらに下草や森の土のようなほのかな大地の香りに加え、温かみのあるスパイスや砕いた石、乾燥オレンジピール、ハーブのニュアンスが層を成し、わずかに熟成肉や樹皮を思わせる複雑な香りも隠れています。非常に芳醇で複雑味のある香りが特徴です。 口に含むと、凝縮感のある赤いサクランボやボイセンベリーの贅沢な果実味が前面に現れ、同時にシルクのように滑らかな質感が感じられます。ミディアムボディでエレガントかつ旨味豊かで、明るく伸びやかな酸がワインに爽やかな飲み心地を与え、タンニンはきめ細かく極めて滑らかです。口当たりは調和が取れており、全体的にバランスが良く洗練されています。後味まで果実の瑞々しさとほのかな旨みのニュアンスが持続し、余韻は長くまろやかに続きます。特に僅かなビターオレンジやキノコ、野生の下草を思わせる風味が後味にかけて顔を出し、複雑で心地よいフィニッシュを演出しています。全体として、エレガントさと力強さを併せ持つピノ・ノワールであり、フレッシュな果実味と洗練された酸、滑らかなタンニンが一体となって長い余韻へと導く逸品です。
畑と栽培:使用されるブドウは、タスマニア南部デラウェント・ヴァレーのグラントンに位置する自社畑から収穫されています。この畑はマルコの父が経営するステファノ・ルビアナ・ワインズのエステートで、2013年にタスマニア初の認証ビオディナミ農園となった由緒ある畑です。化学合成農薬や除草剤を一切使用せず、土壌再生や生態系の調和を重視したビオディナミ農法(有機栽培)でブドウが育てられており、低収量による高品質な果実を得るため細心の注意が払われています。畑の土壌は石や砂利を多く含む粘土質土壌で、水はけが良く冷涼な気候と相まってピノ・ノワールの栽培に適したテロワールです。ブドウ樹は高密度に植えられ丁寧に管理されており、家族総出で除草、剪定、摘房など年間を通じた細やかな手作業が行われます。マルコ氏自身、「ワインの品質の90%は畑で決まる」と信じており、年間の大半をブドウ畑で過ごして樹勢や果実の状態を観察しながら栽培に努めています。その結果、健全で完熟したブドウを得ることで、醸造では過度な操作を必要としない自然なワイン造りを可能にしています。
発酵と醸造:収穫されたブドウは全て手摘みで厳選され、醸造所へ運ばれます。発酵は自然酵母(野生酵母)によって行われ、開放型の小さな発酵槽で丁寧に醸しが行われます(父ステファンのワイナリーでも野生酵母発酵が伝統です)。2023年ヴィンテージでは、シーズンが平年より冷涼であったことからブドウの成熟度合いに合わせて約30%の全房発酵が採用されました。全房発酵により発酵中の温度上昇が緩やかになり、ワインにスパイシーなアロマや複雑なタンニンの構造がもたらされています。残りのブドウは除梗されて果粒のみで仕込まれ、発酵温度や抽出の管理も極力自然に任せた形で進められます(ポンプなど機械的介入は必要最低限にとどめ、移液には重力移動を用いる)。発酵後、ワインはフレンチオークの228L小樽(ブルゴーニュ樽)に移され、およそ1年間静かに熟成されます。新樽の使用比率はごく低く抑えられており(または中古樽主体)、木樽由来の風味が過度に出ないよう配慮されています。熟成中はセラー内を低温多湿に保つことでゆっくりとワインを進化させ、繊細な風味の一体化を図っています。約12ヶ月の熟成を経た後、ワインは無清澄・無ろ過でボトリングされます。瓶詰めの際、酸化防止目的の二酸化硫黄添加も必要最低限に留められ(場合によっては無添加)、ワイン本来のピュアな風味と鮮度が損なわれないようにしています。使用するコルク栓やボトルも高品質のものを厳選し、瓶内での健全な熟成ポテンシャルを確保する工夫もされています。こうした伝統的かつ低介入の醸造アプローチにより、ブドウの持つテロワールの個性がそのまま表現されたエレガントなピノ・ノワールが生み出されています。
生産者情報:マルコ・ルビアーナ氏は、6代続くワイン醸造一家の末裔として生まれた若き醸造家です。ルビアーナ家は19世紀後半に当時オーストリア=ハンガリー帝国領だったイストリア(現在のクロアチア西部)でワイン造りを始め、その後第二次世界大戦後に一家でオーストラリアへ渡りました。南オーストラリアでは祖父の代(アンドレア氏、その息子マリオ氏)からワイン醸造を続け、父のSスティーブ・ルビアーナ氏が1990年にタスマニア州南部グラントンの地に移り住んでワイナリーを創設しました。ステファノ・ルビアーナ・ワインズ)はタスマニアを代表するワイナリーへと成長し、ピノ・ノワールやシャルドネの名手として国際的にも評価を得ています。そうした環境の中で育ったマルコ氏にとって、ワイン造りの道を歩むことは自然な成り行きでした。 幼少期から家族のブドウ畑で過ごしワインに親しんだマルコ氏は、高校卒業後に南オーストラリアのアデレード大学に進学し、ブドウ栽培・醸造学を専攻しました。大学在学中には地元の高級ワインショップ「East End Cellars」で2年間働き、フランスやイタリアの高品質ワインのテイスティングを通じて自身の味覚を研ぎ澄ます経験も積んでいます。2018年に学士号を取得して卒業した後、ブドウ栽培・醸造の知識にとどまらず本場の経験を求めて、ワインの聖地ブルゴーニュへの研修に赴きました。2019年にはフランス・コートドール地区のシャトー・ド・シャミイでヴィンテージ研修を行い、伝統的なブルゴーニュワイン造りを肌で学びます。帰国後、さらなる欧州修行も計画しましたが折悪しく世界的なCOVID-19パンデミックの影響で渡航が叶わず、その間タスマニアの実家ワイナリーで父の下で技術研鑽に励みました。この経験が転機となり、家族の畑のブドウを使って自身のワインを造り始めることを決意します。その結果誕生したのが、自らの名を冠したブランド「マルコ ルビアナ ワインズ」で、初リリースは2018年ヴィンテージのピノ・ノワールとシャルドネでした。以降、南タスマニア産のピノ・ノワールとシャルドネのみを手掛けるというシンプルかつ大胆な方針でブランドを展開し、若手ながら高い評価を獲得しています。マルコ氏のワインは立ち上げ直後から専門家の称賛を集めており、彼自身もオーストラリアのワイン業界で将来を嘱望される存在となりました。実際、2021年にはオーストラリアの新進気鋭の醸造家に贈られる「ヤングガン・オブ・ワイン」の新人賞(Best New Act)に選出され、翌2022年にはブドウ栽培家賞(The Vigneron)を受賞しています。さらに2024年には同賞のグランプリである「Young Gun of Wine 2024」を受賞し、18年の歴史を持つこの賞で初のタスマニア出身受賞者となりました。これはマルコ氏の栽培・醸造における手腕と将来性が高く評価された結果であり、若手醸造家の中でもトップクラスの評価を得ている証と言えます。現在マルコ氏は実家のワイナリーを拠点に自身のワイン造りを続けており、彼のワインはオーストラリア国内はもちろんシンガポール、香港、イギリス、ドイツなど海外数か国にも輸出されています。小規模生産ながら各国の愛好家から注目を集める存在として、精力的に活動しています。
ワイナリーの歴史:ステファノ・ルビアーナ・ワインズは、マルコ氏の父であるステファノ(愛称スティーブ)・ルビアーナ氏と母モニーク氏によって1990年にタスマニア州グラントンで設立された家族経営ワイナリーです。彼らは南オーストラリアでの家族のワイン醸造経験を経て、冷涼な気候で高品質ワインを生み出す理想を求めタスマニアに渡り、この地にブドウ畑を開拓しました。設立以来、ステファノ・ルビアーナ・ワインズは環境と調和したワイン造りを追求し、2010年からビオディナミ農法を導入、2013年にはタスマニア初の公式ビオディナミ認証を取得しています。畑はデラウェント川沿いに広がる特別な区画で、低収量栽培と丁寧な醸造によってテロワールを映し出す高品質なワインを生産してきました。ピノ・ノワールとシャルドネを中心に伝統的手法とモダンな感性を融合させたスタイルは国内外で高い評価を受けており、特に同ワイナリーのピノ・ノワールはロンドン国際ワインチャレンジにおいて3度も「世界最優秀ビオディナミワイン」に選出された実績を持ちます。これは同ワイナリーのテロワールの素晴らしさと品質への飽くなき追求を物語るエピソードです。 マルコ・ルビアーナ・ワインズは、このステファノ・ルビアーナ・ワインズから派生する形で誕生した次世代ブランドです。前述の通り2018年にマルコ氏が初の自身のワインをリリースしたことから始まりましたが、その醸造設備は基本的にステファノ・ルビアーノのワイナリー内にあります。つまり、父スティーブのワイナリーを拠点としつつも、マルコ氏自身の独立したレーベルとして運営されている関係です。ブドウも当初は父の管理する畑(デラウェント・ヴァレーの自社畑および一部は家族が購入したヒュオン・ヴァレーの畑)から供給されていました。実際、マルコ氏が最初に手掛けた2018〜2021年頃のワインは、新たに家族が取得した南タスマニア・ヒュオンヴァレーの「ルシル・ヴィンヤード」のブドウを使用しており、同畑は古木(1973年植樹)のピノ・ノワールがある希少な区画でした。その後、2022年まではヒュオンとデラウェント2か所の家族畑のブドウをブレンドしてワインを造っていましたが、2023年からはデラウェントのグラントンエステート産ブドウに完全にシフトしています。このように、マルコ/ルビアーナブランドとステファン・ルビアーナ・ワインズは非常に密接な関係にあり、親子二世代で協力しながらもそれぞれの個性を表現するワイン造りを行っています。なお、父スティーブと息子マルコのコラボレーションとして2022年に新たに「ディープ・ヴァレー」というジョイントレーベルも立ち上げられました。ディープ ヴァレーでは父の持つデラウェントおよびヒュオンの単一畑のブドウを用い、親子それぞれのスタイルを融合させた少量生産の限定ワインがリリースされています。このプロジェクトは両者の創造性を活かした実験的な試みであり、両者のの強い結びつきを象徴するエピソードと言えるでしょう。マルコ氏のワイン造りはまさに家族の伝統と革新が交錯するフィールドで展開されており、父から受け継いだ哲学を基盤としつつ自身の世代ならではの感性を加えてブランドの個性を確立しています。
飲み頃と熟成ポテンシャル:2023は、リリース直後から素晴らしい飲み心地を発揮しています。実際、2023年産は前の年のヴィンテージ(2022年)に比べて若いうちから寛容で豊かな果実味を備えており、「抜栓後すぐでも見事に楽しめる出来映え」と評されています。柔らかなタンニンと生き生きとした酸がもたらすバランスの良さから、購入後すぐに飲んでも美味しく、早い段階で魅力が開花するスタイルです。特に2023年ヴィンテージはジューシーでフレッシュな果実味と洗練された構造を併せ持ち、若いうちからアプローチしやすいとされています。 もっとも、このワインは単に早飲み向きなだけでなく、瓶内熟成による発展ポテンシャルも十分に秘めています。30%の全房発酵由来の複雑性や凝縮感のある果実味、酸とタンニンの見事な調和があるため、適切な環境下で瓶熟成させることでさらなる深みが引き出されるでしょう。海外の評価でも「現在すでに驚くべき飲みやすさだが、今後さらに熟成によって進化する複雑性を備えている」と指摘されています。実際オーストラリアのあるワインサイトでは、本2023年ピノ・ノワールの熟成ポテンシャルは「中期」すなわち数年から10年未満程度と分類されており、また別の専門家からは「今後10年は容易に発展を続けるだろう」との見解も示されています。総合すると、飲み頃としてはフレッシュな果実感を楽しむなら今から数年以内(2023〜2028年頃)にかけて、熟成ポテンシャルとしては適切な保管のもとで約2033年前後まで十分に品質向上が期待できると言えます。ワイン自体にしっかりとした骨格と酸があるため、2〜3年程度経過して落ち着きが出てから飲むと一層まとまりが感じられる可能性もあります。いずれにせよ、抜栓後は時間の経過とともにグラスの中で香りが開き複雑さが増すタイプのピノ・ノワールですので、若いうちに飲む際もデキャンタージュや時間をかけて味わうことで真価を発揮するでしょう。
希少性:本ワインはオーストラリア国内の一部高級ワインショップやレストラン、および限られた海外市場でのみ取り扱われています。マルコ・ルビアーナ・ワインズは立ち上げ当初から注目度が高く、発売と同時に完売することも珍しくありません。海外では現在、シンガポール、香港、イギリス、ドイツといった国々に輸出実績がありますが、その数量はごく僅かです。例えばイギリスではロンドンの有力ワインショップがいち早くマルコ氏のワインを紹介し「将来のクラシックになり得るピノ・ノワール」と評価しています。割り当ても極小です。
【詳細情報】
色タイプ:赤・辛口
容量:750ml
アルコール度:
ブドウ品種:ピノ ノワール
樽熟成:12カ月 ブルゴーニュ産
産地:オーストラリア/タスマニア
生産年:2023年
ラベル表示:酸化防止剤