BROVIA Barolo Brea “Vigna Ca’ Mia” 2019(ブロヴィア・バローロ・ブレア “ヴィーニャ・カ・ミア” 2019)
16,999円(税1,545円)
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イタリア・ピエモンテ州バローロ地区にある家族経営のワイナリーBROVIA(ブロヴィア)は、1863年にカスティリオーネ・ファレット村で創設されました。フィロキセラ禍や世界大戦の影響で一時ワイン造りが中断されましたが、1953年にブロヴィア家によって醸造が再開され、以後バローロを代表する伝統的生産者の一つとして歩みを続けています。現在は創設者の子孫であるエレーナ・ブロヴィア氏とその夫アレックス・サンチェス氏が中心となり、家族で経営と醸造を担っています。サンチェス氏はスペイン出身の醸造家であり、その参加もユニークな点と言えるでしょう。
哲学とワイン造りへのこだわり: ブロヴィアは「伝統への敬意」と「テロワール(畑固有の風土)の表現」を重視しています。畑ごとの個性を尊重するため、複数の単一畑(クリュ)のバローロを生産し、ブレンドではなく各畑の葡萄を単独で醸造・瓶詰めします。栽培面では長年にわたり化学肥料や除草剤を極力排除した有機的手法を採用しており、土壌とブドウ樹への負荷を抑え健全な葡萄を育てます。収量も厳しく制限し、手摘みで収穫された完熟葡萄のみを使用しています。醸造においても自然酵母による発酵を行い、ネッビオーロ種本来の風味を引き出すために長めの醗酵・マセラシオン期間を設けています(約3〜4週間)。発酵温度は概ね28℃前後に管理され、必要に応じてルモンタージュ(ポンプオーバー)やデレスタージュ(ラック&リターン)で果帽を湿らせながら丁寧に色素とタンニンを抽出します。また熟成にはスロベニアンオークなど大型の伝統的木樽(ボッティ)を使用し、新樽由来の強い香味を避けることでネッビオーロの繊細な香りと味わいを生かしています。通常バローロは最低18か月の樽熟成が法定されていますが、ブロヴィアでは24か月以上木樽熟成させることも多く、その後も瓶内で十分に落ち着かせてから出荷しています。このように伝統的手法と徹底した品質志向により、ブロヴィアのワインはエレガンスと長期熟成能力を備えたバローロとして世界的にも高く評価されています。
醸造方法: ブレア “ヴィーニャ・カ・ミア”はセッラルンガ・ダルバ村のブレア畑内にある区画「カ・ミア」のネッビオーロから造られる単一畑バローロです。醸造工程は基本的に他のバローロと共通しており、ステンレスタンクでの長めの醗酵とマセラシオン(約3〜4週間)、その後の大樽熟成という流れです。2019年ヴィンテージでは果実の凝縮感が高かったため、マセラシオン期間を30日近く確保しつつも抽出が過度にならないよう温度管理に細心の注意が払われました。発酵中は1日1回程度のピジャージュに留め、穏やかにタンニンと色素を引き出しています。アルコール発酵完了後は澱とともにしばらくタンクで熟成させた後、大樽に移して約2年以上熟成させます。瓶詰め前には必要最低限のろ過のみ行い、カ・ミア畑特有の力強さをそのままボトルに閉じ込めています。
使用葡萄と畑の特徴: 品種はネッビオーロ100%。カ・ミアはセッラルンガ・ダルバ村の著名なブレア畑の中でも特に優れた区画で、ブロヴィア家が所有しています。標高約350m、南〜南西向きの畑で日照量に恵まれ、石灰質の強い泥灰質土壌はセッラルンガ地区らしいミネラルと力強さを葡萄に与えます。粘土質も適度に含むため保水性があり、乾燥年でも葡萄がストレスを受けにくいのが特徴です。樹齢は平均50年近くに達し、深く根を張った古木からは収量こそ少ないものの非常に凝縮度の高い果実が得られます。
樽熟成と瓶熟成: カ・ミア2019は発酵後、スロベニアンオークの大樽で約24か月以上熟成されます。場合によっては30か月近く樽内に留めることもあり、ブロヴィアのバローロの中でも最も長く樽熟成されるキュヴェの一つです。大樽で長期熟成させることでセッラルンガ産ネッビオーロ特有の硬質なタンニンがまろやかになり、豊かな果実味と樽由来のスパイスニュアンスが調和していきます。瓶詰め後も最低1年、可能であれば2年程度セラーで寝かせてから出荷されます。リリース時点でも力強い構造を持ちますが、瓶内熟成によって各要素が一体化し始め、カ・ミアならではの重厚さとエレガンスが引き出されています。
醸造・栽培上のこだわり: カ・ミアはブロヴィアの単一畑バローロの中でも特にパワフルなスタイルとして知られるため、栽培・醸造両面でそのポテンシャルを最大限活かす工夫がされています。栽培では樹齢の高いブドウ樹を丹念に手入れし、樹冠管理(キャノピー・マネジメント)を行って日照と通風を確保しつつ過度な日焼けは避けています。成熟期には区画ごとに収穫タイミングを見極め、完熟しきった葡萄のみを選果して醸造に回します。醸造では豊富なタンニンを如何にエレガントに仕上げるかが鍵となるため、発酵中の抽出は慎重にコントロールされます。加えて熟成中は必要に応じて大樽内のワインをバトナージュ(澱攪拌)し、澱からくる旨味とテクスチャを高める試みも行われています。こうした細部へのこだわりが、カ・ミアの持つ力強さの中に滑らかさと複雑味を与えています。
テイスティングコメント: グラスに注ぐと濃いめのガーネット色で、中心部は深みのあるルビーの色調を帯びています。香りのボリュームが大きく、熟したブラックチェリーやプラムなど黒系果実の凝縮したアロマに加え、ドライハーブやリコリス、タール、革製品を思わせる力強い芳香が感じられます。空気に触れるとクローブや甘草、ミントのニュアンスも現れ、セッラルンガ由来の鉄分を含む土壌的な鉱物系の匂いも背景に漂います。味わいはフルボディで非常に骨太かつ濃密です。熟成由来のまろやかさが出始めていますがタンニンは依然力強く、きめ細かさの中にも重厚なストラクチャーを感じます。豊かな果実味をしっかりとした酸が支え、全体として厚みとバランスを兼ね備えた風格ある味わいです。余韻にはブラックベリーのジャムやスパイス、ビターチョコのような濃厚な風味が長く残り、フィニッシュの持続力は圧巻です。若干の厳格さが感じられるのは若さゆえで、最低でもあと5年、可能なら10年以上の瓶熟成によって真価を発揮するポテンシャルを備えています。
世界的な評価: ワイン・アドヴォケイト誌は94点を与え、「濃密で堂々とした構成の中にエレガンスが光る」と評しました。ヴィノス(Galloni氏)からは94点で、「セッラルンガの力強さとブロヴィアの洗練が見事に調和している」とコメントされています。ジェームズ・サックリング氏は96点の高得点を付け、「非常に深みがあり印象的。2040年代まで熟成可能だ」と長期熟成力を讃えました。そのほかWine Enthusiast誌でも95点を獲得し編集者おすすめに選出されるなど、各専門誌で概ね94〜96点というトップクラスの評価が与えられています。
色タイプ:赤・フルボディ
容量:750ml
アルコール度:14.5度
産地:イタリア